空と少年と少女と
屋上っていうのは人気が無い。
なぜなら夏は容赦ない太陽の日光が直接当たるし、冬は冬で北風の溜まり場でコートを着ていても寒い。
つまりは最悪のポイントなのだ。
ときどき告白やカップルの密会場として利用されるくらいで、好んで来る者のほうが珍しい。
校内で一ケタほどしかいない、といっても過言ではないだろう。
ここに、その一ケタに入る少女が一人。
野生児とウワサされるサファイアである。
彼女は今日もここに来ていた。
いつもならば心地よい(?)北風を受けて、幸せをかみしめているところだが
今日は違った。
ぶすりと頬を膨らませてその原因をにらみつけている。
「あんたがこんなとこにおるなんて珍しいとね。」
軽々とフェンスの上によじ登り彼女は吐き捨てるように言った。
「僕がここにいちゃ、悪いかい?」
「あたしの気分が悪いと」
「良かったね」
吹き付ける風の鳴き声と部活動に勤しむ生徒の声が響く。
太陽は真っ赤に燃えながら黒雲へと消えていった。
「君は知らないだろうね」
「・・・ん?」
「落ちていく、あきらめていく者の気持ち。
必死になって走って、もがいて、手を伸ばして
それでもつかめなかった絶望が、さ」
いつのまにか空は黒雲が広がっていた。
ゴゥゴゥとうなりながら
それは月を、そして青空を飲み込んでいく。
「何いっとると?」
「わからなくていいよ。
君は一生知らずに暮らすだろうから」
「・・・ルビーは、知ったと?」
「・・・・」
「だったら、あたしもきっとそれを知ると」
「・・・無理だよ」
「あんたにできて、あたしができないはずはないったい。
幼馴染けんね」
「やめときなよ。
いいもんじゃない」
ゴウウウゥゥゥゥゥゥゥゥ
どこからかうなりをあげて飛行機が黒雲を割いていく。
「でも、ルビーだけ知ってるのはずるいったい
あたしもルビーの知ってること、知りたいと」
「・・・ずるいとかそういう問題じゃないよ」
「そうと?」
「多分無理だけどね」
「なっ!」
黒雲を割いた飛行機は白い紐を残して青空へと消えていく。
「・・・アリガト」
「ん。
なんか言ったと?」
「別に」
太陽は真っ赤に燃えて家路へと急いでいく。
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